作品データ
TVアニメ『フラクタル』(2011年)
http://fractale-anime.com/
EPISODE 04 『出発』
監督: 山本寛
脚本: 岡田麿里
絵コンテ: 足立慎吾
演出: 足立慎吾
作画監督: 林勇雄
概要
ユビキタスに構築されたフラクタルシステムが社会を完全に管理する未来世界を描く、一種のディストピアSF。
フラクタルに反抗するグラニッツ一家に拉致されたヒロイン、フリュネ。彼らと行動を共にしていた主人公クレインは、監禁されていたフリュネを連れて脱走しようとするが、なぜか助け出した彼女にビンタされる。
評価
衝撃度 (Impact): 80
監禁された船倉に忍び込んできたクレインにフリュネは驚くが、一緒について来たネッサを見て険しい表情に。自分を縛った縄を解くクレインとネッサを見る冷たい目が早くも不穏な気配を感じさせる。
縄が解かれると、座った姿勢から膝立ちに起き上がっていきなりビンタ。「よけいなことを!」
よけいなこと、とはネッサをデータから再起動(?)したこと。自分が助けられたことはいわば当然で、礼を言うというような発想はない。もちろんクレインにはそんなことはわからない。次のやりとり、フリュネが残したデータを調べたというクレインに「勝手に調べた!? なんて下劣な品性なのでしょう!」というのも、両者のいわば社会的な価値観が全く食い違っていることを示している。厳密にはビンタとは別件ですが「下劣な品性」と罵倒されるというのもポイント高いです(笑。
それから、ビンタの直後、クレインよりも早くリアクションするのがネッサです。もともと人の好悪の感情に敏感な彼女が、嫌悪感の最も強烈な表現であるビンタを目の当たりにして「あぁっ!?」と素で驚く様が新鮮。これも衝撃度ボーナス値は高めにつきました。
表現力 (Expression): 75
上半身を大きく使って美しい軌道を描くフルスイングのビンタです。
お互い膝を着いた体勢なのでアクションのダイナミズムには欠けるはずですが、そこを構図の取り方で巧くカバーしている点も含め見事な演出。
感情度 (Emotion): 55
クレインの「よけいなこと」、つまり勝手に彼女の持ち物からネッサを目覚めさせたことを咎める、ペナルティを与えるようなニュアンスが強く、必ずしも感情が先行して手が出たわけではない、ようにも見える。
リアクション (Reaction): 60
いきなり打撃がくるとは夢想だにしていないクレインは咄嗟に何も反応できない。「よけいなことを!」という不条理な言い分に「えぇ?」と力なく後ろによろめく画もいい。それから比較的冷静に反論を述べるも、さらに理不尽な糾弾にキレそうになったところで、先に取り乱したネッサが彼女に食ってかかる。さらにスンダも乱入してグダグダになって終了しているのは残念。
破局度 (Catastrophe): 30
脱走してからはアクションに次ぐアクションで息つく間もないが、結局グラニッツの船に戻った後、最初に顔を合わせるのがハッキリと和解のシーン。というよりデレに近い。後腐れナシです。
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