ビンタとは
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ビンタの定義
他人の頬を手のひらで打つこと。「―を食う」「往復―」
何を以て「ビンタ」とするか、については上記の説明で概ね十分かと思います。
「平手打ち」とほぼ同義ですが、補足するなら、用例にもある「往復ビンタ」の「復」にあたる動作、手の甲で払うように逆モーションで叩く動作を便宜上「裏ビンタ」と呼ぶことにします。造語ですが稀にこの意味で使われる例もあるようです。
なお、当サイトでは対象作品からの引用を除き、原則として「ビンタ」とカタカナで表記します。
なぜビンタか
まず「暴力」という観点からすると、フィクションにおける暴力にはビンタより激しいものがいくらでもある。殴り合いに始まり、鈍器、刃物や銃器といった道具を使ったもの、さらに魔法や超能力といった現実にはありえない手段まで、フィクションの中ではあらゆる表現が可能です。ではなぜ、殊更にビンタに注目するのか。
ビンタの目的は相手に身体的なダメージを与えることではない。それなら端的に言って拳で殴るほうが効果的なのは明らかでしょう。ビンタは「メッセージ」です。ビンタが多く女性によって用いられるのもそのためです。
上に挙げたような、より過激な暴力表現の多くは、作劇において「アクション」シーンに分類されます。一方、ビンタは多く日常の、会話の中で表れてくる。より正確には、日常の、会話の、「破綻」を象徴するのがビンタです。
ビンタという行為は決して「日常」的ではない。むしろ日常にあってはならないものです。会話の中に収まり切らない感情の昂ぶり、言い換えれば言葉では伝えられないメッセージを表現するために、相手の頬を打つという行動がある。それ自体「言葉では言い表せない」、あるいはより積極的に「口もききたくない」というメッセージであり、あえて顔に手を上げるのは「侮辱」「軽蔑」の意図を含む。また社会的な規範を踏み越える行為で、その覚悟の表明でもある。
ビンタの前後を通じて、日常的な会話のシーンが、突然の暴力によって破綻する、という、ドラマの中でのテンションの振幅の大きさが見せ場になる。静から動へ、その急激な移行の落差が、ビンタの劇的効果の一つであるといえるでしょう。
ビンタの分類
まず男女間でのビンタ。主に女性の、男へのビンタが当サイトで扱うメインの対象になります。一応。
心理的な面から見ると、自分の男女観に根ざした見方ですけれども、男は女性が想像する以上に何も考えていないし、言葉と言葉以外によって伝わるべきメッセージを受け取っていない。そのことに女性が気づいた瞬間、怒りと共に「言っても伝わらない絶望感」が閾値を超えると思わず手が出てしまうのだと思います。したがって、男のリアクションは「なんで打たれたのか理解できない」ので愕然とする、という演出が好み。
加えて、日常の社会生活の中では普通ありえない暴力行為が発生するという「見てはいけないものを見てしまった!」感もほしい。つまり「衆人環視」というのも大事なポイントで、まあ学校の教室とか廊下とかでいいんですが、打たれた男がその直後どう振る舞うか? というのも、だから器が試される場面です。上記の通り「なんで打たれたのかさっぱりわからない」場合は特に。まあ、仮に友達のそういうシーンを目撃してしまったら、男としてラーメンを奢ってやればいいと思います。
その意味で、ラブコメにありがちな、普段から(ギャグであっても)男を殴ったり蹴ったりするヒロインでは日常との落差や意外性が生じないのでダメですね。そうでなくても暴力的なヒロインは好きじゃないですけど。閑話休題。
以上あくまで男の視点から見た女性のビンタは、常に「予想外」という形をとる。逆に女性から見るとどうなんでしょうか。あれじゃ叩かれて当然だよ、という感じなのか、だとするとそんなもの見ても別に盛り上がらないですよね。したがって、シーン全体の演出としては「最初から破局の予兆をビンビン感じさせる」か「その瞬間まで全く予測できない」に二極化すべきでしょう。
次に、「女同士のビンタ」はここまで書いたのとは全く異質なはずですが同じスリルを味わえます。むしろ迫力はこちらが上だったりします。「女の戦い」を見るのが好きというのはわりと一般的な性向だと思いますが、もう完全に男には伺い知れない女の領域で戦われているそれはホラーです。怖いもの見たさです。「見てはいけない」感がより強いとも言えます。
他には、強いていえば、興奮あるいはパニック状態になった相手を落ち着かせるために頬を叩いてショックを与える、というのが一つのパターンとして分類できそう。これは全く趣旨が異なるため当サイトではほとんど採りあげないと思います。
このサイトについて
ビンタフェチです(カミングアウト)。
なお、各作品の画像やテキストはあくまでビンタの資料として引用の範囲内で利用させていただいております。