作品データ
TVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)
http://www.starchild.co.jp/special/evangelion/neon-genesis.html
第伍話『レイ、心のむこうに』
監督: 庵野秀明
脚本: 薩川昭夫、庵野秀明
絵コンテ: 甚目喜一
演出: 杉山慶一
作画監督: 鈴木俊二
概要
言わずと知れた大ヒット作。さすがに押さえておくべきかと思い取り急ぎフォローしました。TV版より。
サブタイトル通り綾波レイにスポットが当たる回で、主人公・シンジと、彼の父親である碇司令を挟んだ関係を通してそのキャラクターが描かれる。
セキュリティパスの更新カードを渡すために綾波の部屋を訪ねたシンジは風呂上がりの彼女の全裸を目撃、さらに押し倒して胸を掴むというアクシデント(笑。
その後、基地に向かう途中の雑談で話題が碇司令に及び、自分の父親が信じられないというシンジに綾波は鮮やかなビンタを決めるのだった。
評価
衝撃度 (Impact): 70
綾波は全裸を見られても押し倒されてもリアクションなしで、ただシンジが碇司令の眼鏡をいじっていたことに反応してそれを取り返す。その後「ごめん」と謝るシンジにも「何が?」と無頓着。その綾波が、碇司令の仕事を信じられないと言うシンジの言葉には過剰に反応してビンタ。
彼女にとって何が大事で何がそうでないのか、出来事に対する反応を通してその価値観を描いているエピソードなのでこの流れは必然。しかし一方、あくまでビンタを軸にして観ると、その直前の全裸を押し倒すシーンのインパクトが強すぎてビンタが霞んでしまっているのは確かである。普通のアニメなら裸を見てしまってビンタとなるところなのだが(笑。
とはいえ綾波がこんな険しい表情で怒りを露わにするのは全編でこのシーンのみであり、瞬間的なインパクト、そして長い目で見たレアリティを考慮してこの評価。
表現力 (Expression): 85
シンジの言葉に反応して振り向き、エスカレータを一段昇って間合いを詰め、一瞬じっと睨み、シンジが何か言いかけたところにビンタ。シンジの肩越しの視点で肩までしか見えていないが、右手を上げた時に上半身が右に揺れ、ちゃんと全身を使って叩いているのがわかる。さすがに美しい動作。直後に切り返した構図で十分に時間を取っており、前後の間も完璧だ。
感情度 (Emotion): 75
評価は難しいが、綾波レイ最大の感情表現ということでこれくらいの点はつけるしかないか。
リアクション (Reaction): 55
反応できず固まったまま数秒。綾波が去ってから頬を押さえる。ごくオーソドックスなリアクションです。
破局度 (Catastrophe): 40
二人が次に顔を合わせるのは、出撃したシンジが意識を失って収容され、目覚めた直後の病室。事務的に作戦スケジュールを伝達する綾波だが、「寝ぼけてその格好で来ないでね」とツッコミを入れる。この時ビンタのことは完全に頭から飛んでいる様子のシンジだが、どちらかというと綾波のほうが気を遣っている、ように見えなくもない。出撃前の会話も平常で、そして「笑えばいいと思うよ」というかの名シーンで和解がなる。
成り行きとはいえ結果的にビンタは後を引かなかったといえる。
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