劇場版『機動戦士ガンダム Ⅰ』 セイラ・マス

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作品データ

劇場版『機動戦士ガンダム Ⅰ』(1981年)
総監督: 富野喜幸
脚本: 星山博之、荒木芳久、山本優、松崎健一
アニメーション・ディレクター: 安彦良和

概要

 TV版と同じシーンですが今回は劇場版から紹介。
 コロニー内でMSの戦闘が始まったサイド7。逃げ遅れた住民を捜しに居住ブロックへ下りてきたセイラ、フラウと入れ違いに避難してきたカイ。他に避難民を見なかったかという質問に「知らねえな」、怪我人を運ぶリュウを手伝わず「(エレベータに)乗るのかい?」と態度のよくないカイに、セイラはいきなり駆け寄ってビンタ。

「痛! お、お前……!?」
「それでも男ですか、軟弱者!」
「な、何だってんだよ!?」
「あなたみたいな人、サイド7に一人で残っているといいんです」
「お高くとまりやがって。あ、あんた、セイラとか言ったよな」
「そんな……不良みたいな口のきき方、おやめなさい!」
というやりとりはあまりにも有名。

評価

衝撃度 (Impact): 60

 同じコロニー住民でカイはセイラの名前を知っていましたが、ほぼ見ず知らず同士、これが初顔合わせの二人。セイラさんはまだ一言も話さないうちに駆け寄るなりビンタ。すぐそこが戦場という極限状況であることを鑑み、評価はこれくらいで。

表現力 (Expression): 65

 数メートルの距離を走り寄ってその勢いのままビンタ。助走をつけたようにも見える効果で、振りは大きくないけどいい音が鳴ってます。

感情度 (Emotion): 75

 セイラやフラウが避難民捜索に駆り出されている状況が異常なのであって、この時点でのカイに多くを求めるのは酷な気もしますが、態度の悪さにキレるセイラさんはさすがに家柄がいいだけあってノブレス・オブリージュが身に着いているということでしょう。
 「それでも男ですか、軟弱者!」というセリフも趣深い。

リアクション (Reaction): 50

 「何だってんだよ!?」と素で驚いており、やはりセイラさんがややテンパりすぎという印象は否めない。「お高くとまりやがって」というセリフはあまりにもベタなチンピラだが、咄嗟に虚勢を張ったと取るべきか。言うだけ言ったセイラが去った後、リュウに応じて怪我人の収容を手伝っている。ビンタの効果があったのかどうか微妙なところ。
 ずっと後になって「ホント、軟弱者かもね……」と述懐してるのも味わいがありますね。本来は評価対象外ですが。

破局度 (Catastrophe): 30

 カイはその後しばらく周りの顰蹙を買い続けるものの、特にセイラと不仲という感じはない。あまり根に持つタイプではないのか。TV版ではまた印象が異なるかもしれないので要確認。