『ジョジョの奇妙な冒険』 第6話 ポコの姉

『ジョジョの奇妙な冒険』 第6話 ポコの姉 『ジョジョの奇妙な冒険』 第6話 ポコの姉 『ジョジョの奇妙な冒険』 第6話 ポコの姉

作品データ

TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』(2012年)
http://wwws.warnerbros.co.jp/jojo-animation/
第6話『あしたの勇気』
原作: 荒木飛呂彦(集英社ジャンプコミックス刊)
監督: 津田尚克
脚本: ふでやすかずゆき
絵コンテ: 吉田泰三
演出: 内田信吾
作画監督: 武本大介

概要

 あまりにも有名な作品のTVアニメ化。
 吸血ゾンビとして甦った騎士タルカスと一対一で決闘場「双首竜の間」に閉じ込められたジョジョ。成り行きで彼らに同行していた少年ポコは、失禁するほどの恐怖を感じながらも、内側からしか操作できない扉を開けるため、城壁の小さな飾り窓から室内へ侵入する。
 ポコが思い出すのは、近所の悪ガキにいじめられていたのを助けてくれた姉の言葉。「あんた、またやられっぱなしだったのね。呆れるわ。なぜいつも黙っててやり返さないのよ?」「あ、あしたやってやらあ!」「あしたっていつのあしたよ?」 彼女はポコに、一番怖いのは殴られる痛みか、いつまでも一人じゃ何も出来ないほうがもっと怖いとは思わないのかと諭す。
 吸血ゾンビが町を襲えば姉も襲われる、自分が姉を守るのだと勇気を奮い、今こそ姉の言葉に答えるのだった。
 「ねーちゃん! あしたっていまさッ!」
 名場面、名ゼリフが目白押しの第一部でも屈指の、心を打つシーンである。

評価

衝撃度 (Impact): 75

 歩いて登場しただけで、歳もさほど変わらない悪ガキ一党が即座に逃げ出す制圧力。
 そして「ポコ、あんたの一番怖いことってなあに?」と穏やかに問いかけた直後にいきなり平手。「一番怖いのはこの痛みなの? 痛いのって怖い?」と、話の流れで「痛み」というキーワードの表現として手が飛んでくる。終始淡々とした調子と相まって異様な迫力である。

表現力 (Expression): 80

 原作の印象的な絵を活かす形で一枚絵がメインの演出だが、その直前、ポコの正面のショットに右手がフレームインしてくるまで描かれているのが芸コマ。そして独特の描き文字擬音に加え、スイング軌道を表現する効果線もマンガ的表現になっているのに注目。SEもそれに準じてスイング音+打撃音から成っている。

感情度 (Emotion): 70

 悪ガキどもを威圧する鋭い眼光といい、呆れるわ、と一旦トーンダウンしたように見えて話の流れで普通に手が出るテンションといい、冷静に見えて熱いものを秘めた女である。

リアクション (Reaction): 75

 悪ガキに殴られた動揺も収まらぬうちに、姉に助けられたと思って気が緩みかけたところへ不意の一撃で、感情が飽和してしまった表情が見事です。

破局度 (Catastrophe): 60

 とうとうマジ泣きし始めた弟に「ほらほら弱虫さん……」と今度こそ優しい姉に戻るのもポイントが高い。
 ポコにとって「あしたっていまさッ!」と答えられるまでは残っていたという意味で、評価は高めに。