『ゼロの使い魔F』 第6話 ルイズVSアンリエッタ

『ゼロの使い魔F』 第6話 ルイズVSアンリエッタ 『ゼロの使い魔F』 第6話 ルイズVSアンリエッタ 『ゼロの使い魔F』 第6話 ルイズVSアンリエッタ

作品データ

TVアニメ『ゼロの使い魔F』(2012年)
http://www.zero-tsukaima.com/
第6話『波乱の露天風呂』
原作: ヤマグチノボル (MF文庫J刊)
監督: 岩崎良明
脚本: 國澤真理子
絵コンテ: 鈴木洋平
演出: 鈴木洋平
作画監督: 戸田麻衣、長谷川亨雄

概要

 現代日本の高校生・平賀才人は、異世界ハルケギニアに使い魔として召喚される。以後はずっと異世界のみで進行する剣と魔法のファンタジー。そのアニメ化4期目にして最終シリーズ。
 典型的なハーレムものでもあり、さすがにシリーズ4期目ともなると正ヒロインであるルイズと才人は正式に恋人同士になっている。それでも他のヒロイン達は遠慮なく才人に迫り、嫉妬したルイズに爆破されるというオチが繰り返される様式美。
 先の戦闘に対する恩賞でアンリエッタ女王から領地を貰った才人は、名実ともに貴族となって自領へ。前領主の館に移り住むも、地下の隠し部屋を発見、その部屋の姿見が城の国王の寝室の鏡と魔法で繋がっていて(!)アンリエッタ女王と密会する形になります。
 そんなアホな! とツッコミたくなるところですが、この館はもともと妾宅で、先々代の国王であるアンリエッタの祖父が愛人を住まわせ、密会するのに使っていたのだろう、というリアルな話が出てきます。「厳格な王だった祖父にこんな一面があったなんて……」とアンリエッタはむしろ同情的。父親の愛人発覚ならショックかもしれませんが祖父だとまた少し違うということでしょうか。そして祖父同様、自分も不本意な結婚を強いられそうだという話に。「結婚するなとは言って下さらないのですね……」とこぼす女王。重いです! そしてごく自然な流れで才人とキス。しかもルイズにバッチリ目撃されている。
 私見ですが、アンリエッタ女王の迫り方は他のヒロインが才人にちょっかい出すのとは全く違う。重い女。しかもガチの浮気。アンリエッタだけはガチ。必ずしも最終シリーズだからというわけではなく、前もこんなでした。才人も完全に釣り込まれてるし、これはルイズと破局しても仕方ないレベル。ちなみにルイズとアンリエッタは幼馴染みの親友でもあります。
 さらに言えば、一応表向きは偶然ということになっているけど、才人にこの領地を与えたのはアンリエッタなわけだし、隠し部屋で密会するところまで全て計算なのではないか? としか思えない節もある。シエスタも女王が才人付きを命じたメイドらしいので、ルイズとの仲を妨害するための工作ではないのか? 「ときどきでいいのです、こうして会っていただければ」「では、またここで」とか言うてるし。
 すっかり前置きが長くなりましたがここまでが第5話で、第6話はサブタイトルからも分かる通りいわゆる温泉回(笑。ちなみにルイズと才人は一応仲直りしてます。それもなぜかルイズが悩んだ末に才人を許すという流れで描かれて才人はリアクションするだけ。どうも才人の言動は一本調子で、自分のやってることの意味がわかってるのか? と言いたくなる。再び閑話休題。ともかく、ルイズによって封印された隠し部屋との通路を確認しに、何食わぬ顔で訪れるアンリエッタ女王。不審者としてルイズに発見され、裸の付き合いとばかり露天風呂でサシで話をつけることになります。

評価

衝撃度 (Impact): 60

 状況は完全なド修羅場、しかも今まで友人とはいえ主従という節度は終始守ってきたルイズが「このあばずれ!」と叫んで女王陛下にビンタする。どう考えても第一級の衝撃シーンのはずなんですが、実際はどうも迫力に欠ける。しらばっくれるアンリエッタに何もかも知っているぞと詰問するルイズ、開き直る女王、という流れは間違ってないんですが、巨乳VS貧乳という構図になるところからコメディ調になってしまって台無しに。

表現力 (Expression): 65

 振りかぶるところまでルイズの正面から、ヒットの瞬間までを横から、その直後をアンリエッタ正面からのカット。オーソドックスですが大きなアクションが丁寧に描かれています。やや音の迫力とスピード感に欠けるのはルイズの身体能力ゆえか。そこをリアルに描いてもという気はするが(笑。

感情度 (Emotion): 75

 「本気で好きになってしまったから仕方ない」「同じ人を好きになるなんてよくあること」「悪いことはしてませんから!」と全く悪びれず開き直るばかりか、「少しは成長することね」と胸の大きさの差を嘲るアンリエッタ。これはルイズの怒りももっともだ、と言いたいところなのだが、やはり流れが色気に行ってしまったところでルイズの気勢も削がれてしまい、感情のクライマックスとビンタのタイミングがうまく合っていない印象です。

リアクション (Reaction): 60

 よろめいて頬を押さえるも、即座に「やったわねぇ!?」と反撃に移る。女王ナイスガッツです。しかし振り上げた腕を受け止められそのまま掴み合いに移行。惜しむらくはビンタを返してほしかった。ルイズもそこは様式として一発もらうべき。

破局度 (Catastrophe): 40

 結局「子供の時以来」の取っ組み合いで、ここからは完全に、両者力尽きるまでケンカして仲直りというお約束の流れに持って行こうとするのだが、問題が全く何も解決していないのは言うまでもない。アンリエッタは「このご時世、男はいつ戦争で死んでもおかしくない」だから自分に嘘は吐きたくない、とまた微妙に違う話を持ち出してルイズを丸め込みます(笑。 二人は握手して仲直り。それでいいのかルイズ。